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その他の自己免疫疾患

変形性関節症

変形性関節症とは、関節の軟骨が摩耗し、関節に炎症・変形が起こることで、痛みや腫れをきたす慢性疾患です。変形は数年から数十年かけて徐々に進んでいき、いずれは関節の可動域が制限され、日常生活にも障害を及ぼすようになります。

更年期関節症

更年期関節症更年期は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。更年期関節症とは、更年期に起こるエストロゲンの分泌量の減少により、関節を支持する腱や筋肉などの柔軟性が失われることで発生する関節の腫れや痛み、こわばりなどの症状です。更年期の女性の約5割が関節痛に悩んでおり、痛みは手指や膝など様々な関節に起こります。症状は閉経から数年かけて少しずつ解消していきますが、日常生活に支障を及ぼすほど悪化することもあります。

痛風/偽痛風

痛風とは、尿酸が固まって結晶となり、関節に溜まることで炎症が発生したものです。一方、偽痛風は、ピロリン酸カルシウムが結晶となって関節内に溜まることで起こります。痛風は中高年の男性に好発し、肥満やアルコールの過剰摂取などが原因で、生活習慣病との関連性がありますが、偽痛風は高齢の女性に好発し、原因が分からないことが多いです。

ウイルス性関節炎

ウイルス性関節炎は、関節内へのウイルスの感染が原因となる疾患です。急性の対称性多発関節炎であることがほとんどで、左右同時に痛みや腫れなどの症状を示します。数週間以内に自然治癒することが多く、感染原因には輸血や外傷などが挙げられます。

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは、DNA-抗DNA抗体などの免疫複合体が組織に沈着することで生じる、全身にわたる炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患です。症状は顔に蝶の形をした赤い発疹、関節痛、腎炎による顔や足のむくみなど、様々です。治療により症状は改善しますが、多くの場合、寛解と増悪を繰り返しながら慢性的に進行します。
全身性エリテマトーデスは難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。

皮膚筋炎・多発性筋炎

皮膚筋炎・多発性筋炎は、自己免疫疾患の一種で、筋肉や皮膚、肺を中心に全身に炎症が生じる病気です。皮膚に特徴的な症状が現れる場合を皮膚筋炎、皮膚症状が見られない場合を多発性筋炎と呼びます。
主な症状には、体幹に近い部分の筋力低下、筋肉痛、特徴的な皮疹があります。咳や軽い動作での息切れがある場合、肺病変(間質性肺炎)が合併している可能性があり、病気が急速に悪化することがあるため、早期の治療が必要です。また、全身の倦怠感、関節痛、発熱が見られることもあります。悪性腫瘍が合併する場合、体重減少や食欲不振が現れることもあります。
皮膚筋炎・多発性筋炎は難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。

全身性硬化症(強皮症)

強皮症は、皮膚や内臓が硬くなる疾患で、手指のこわばり、指尖潰瘍、レイノー現象などの症状を起こします。また、肺高血圧や間質性肺炎などの合併症が発生することもあります。
このように症状は全身に起こるため、全身の精密検査を行い、合併症に対して適切な治療が必要となります。指先の血流障害には血管拡張薬や抗血小板薬を使用します。肺症状の治療には循環器専門医との連携が必要です。
強皮症は難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。

混合性結合組織病

混合性結合組織病とは、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎の3つの膠原病の症状が混在する疾患です。他の膠原病と同様に、30~50代の女性に好発し、多発関節炎、レイノー現象、肺高血圧などの症状を引き起こします。血液検査では抗U1-RNP抗体の上昇が確認されます。治療は、ステロイドや免疫抑制剤などの薬物療法が中心となります。早期治療が重要なので、気になる症状がある場合は早めに受診しましょう。
混合性結合組織病は難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。

乾癬性関節炎

乾癬性関節炎乾癬性関節炎は、皮膚疾患の1つである乾癬の合併症で、関節や腱付着部、指に炎症が発生した状態です。
日本人の乾癬患者の約10~15%に発症すると考えられています。30~50代に好発し、男女比はほぼ均等です。なお、現在のところ原因については分かっていません。
乾癬性関節炎では乾癬の皮膚症状が起こります。皮膚に少し盛り上がった赤い発疹と銀白色のフケに似た鱗屑が見られ、髪の生え際や肘、肘、臀部などに起こりやすいです。
この乾癬の皮膚病変に加え、以下のような症状が起こります。

  •  末梢関節炎:左右対称に関節に腫れや痛みなどを示します。(特に手足の指の第1関節に多い)
  • 腱付着部炎:膝蓋腱やアキレス腱など、靭帯・腱が骨に付着する場所に痛みを示します。
  • 指趾炎:手足の指がソーセージのように腫れます。(足の第3・4趾に多い)
  • 脊椎関節炎:仙腸関節や背骨に炎症が発生し、腰痛が起こります。(安静時に強く、動作時は落ち着く)
  • 爪病変:爪の一部に凹み、肥厚、剥離が生じます。爪病変が起きている指は関節炎が発生しやすいです。

強直性脊椎炎

強直性脊椎炎は体軸性脊椎関節炎の一種で、仙腸関節、首・背中・腰の脊椎の靱帯付着部に炎症が発生します。仙腸関節とは、骨盤の骨である仙骨と腸骨の間にある関節です。
炎症は、肩や股、膝の関節や、アキレス腱が踵の骨に付着する部分にも発生することがあります。その他、目や腸に炎症が発生することもあります。
強直性脊椎炎は難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。

ベーチェット病

ベーチェット病は全身性臓器に繰り返し症状を起こす炎症性疾患で、主な症状は、皮膚症状、眼症状、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍の4つです。
現在のところ原因は分かっていませんが、遺伝的要因や感染症などの環境的要因が影響し、白血球の反応が非常に強くなることで発症すると考えられています。
ベーチェット病は難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。

成人発症スチル病

成人発症スチル病は全身性の炎症疾患で、リンパ節の腫れ、発熱、皮疹などの症状を示します。皮疹は熱が下がるに伴って治まっていきます。ごく稀な疾患で、発症率は10万人中3~4人ほどです。
現在のところ原因は分かっていませんが、血球の一部の単球や マクロファージが、炎症性サイトカインと呼ばれる炎症を発生させる物質を過剰に生み出し、体内に強い炎症を起こすと考えられています。
治療は炎症を抑制する副腎皮質ステロイドによる薬物療法が基本となります。
成人発症スチル病は難病指定されており、臨床調査個人票の申請が通れば医療費が助成されます。